東京オリンピックのマラソンと競歩競技の開催場所が「札幌市」に決定しました。この決定を受けて世間では大きな混乱が起きています。
東京オリンピックはなぜ札幌開催になり、パラリンピックに限っては、なぜ東京開催なのでしょうか?その理由は?本当に「アスリートファースト」なの!?そのような疑問の声が上がっています。
今回は東京オリンピックのマラソン・競歩競技の開催場所がなぜ変更になったのか、その理由について見ていきましょう!
「オリンピックは札幌」の理由

引用元:https://www.hotelier.jp/
2019年11月1日(金)の会議で、東京オリンピックのマラソン・競歩競技の会場が「東京から札幌」に変更が決まりました。東京オリンピックマラソン・競歩競技の日程は以下の通りです。
【東京オリンピック日程】マラソン・競歩
- マラソン(女子):2020年8月2日(日)
- マラソン(男子):2020年8月9日(日)
- 競歩(男子20km競歩決勝):2020年7月31日(金)
- 競歩(女子20km競歩決勝):2020年8月7日(金)
- 競歩(男子50km競歩決勝):2020年8月8日(土)
開催地の変更の決定打は「暑さ」
IOC・バッハ会長:「日本ではここ2年間、気温上昇による暑さ対策が課題となっていた」
引用元:テレ朝NEWS
東京オリンピックのマラソン・競歩競技の開催地が変更になったのは、東京都の「暑さ対策」に課題があったからとのことです。確かに、東京都の7月、8月は猛暑で、あの中オリンピックを行うのか・・・と思うとゾッとしてしまいます。
「暑さ対策」をいくら行っても、選手へ与えるダメージが懸念されたことから、開催地の変更を余儀なくされてしまったのかも知れませんね。
2019年8月の東京都の天気は?

引用元:https://weather.goo.ne.jp/
2019年8月の東京都の天気です。東京オリンピックのマラソン・競歩競技が行われる約2週間の天気と気温を見てみましょう。
- 天気は連日晴れ続き
- 最高気温は33~35℃
- 最低気温は25~27℃
最低気温でも25℃、最高気温は35℃と熱中症レベルの気温ですね(汗)何より、東京都はコンクリートに囲まれているため、暑さがこもってしまいます。田舎のような解放された空間での高気温ではないので、人が集まれば更に暑さが増してしまうことも懸念されてしまいますね。
関連記事:東京オリンピック男子マラソン代表枠数は残り1!大迫傑 設楽悠太 井上大仁誰の手に!?
2019年8月9日(金)東京都の気温の上昇の仕方は?
マラソン・競歩競技の開始時間は午前6時からと計画されていました。午前6時にスタートをして午前10時近くまで競技が行われた場合、気温はどのように上昇していくのか、2019年8月9日(金)のデータを元に見てみましょう。

引用元:https://tenki.jp/
- マラソン・競歩競技スタート時間(午前6時)の気温:27.5℃
- マラソン・競歩競技終了時間(午前10時)の気温:32.0℃〜34.1℃の間
スタート時点で27℃あり、ゴールする頃には30℃を越してしまう暑さになってしまいますね。これでは具合の悪くなる選手が出てしまうことも予想されます。
2019「世界陸上」暑さで途中棄権者が続出による開催地変更?
実は、2019年9月からドーハで行われた世界陸上のマラソン競技では、女子選手の約4割が暑さによる体調不良から途中棄権をしていたことが分かっています。
ドーハ世界陸上で以下の点が指摘されていました。
- 女子マラソンは9月27日深夜にスタートをした
- 熱中症の危険度を示す暑さ指数は大会側発表では29.5℃とした
- 大会側は30℃以下になると見込んでレース実施を決めていた
- 給水所横で行った日本陸連の計測の平均は30.5℃であった
- 途中棄権者は4割に達し、マラソン・競歩の開催地変更に傾く大きな要因となった
熱中症の危険度を示す暑さ指数「29.5℃」を超えないよう、マラソン選手の体調への負担を考慮して深夜スタートとなったのでしょうが、約30℃の暑さの中でも約4割の女子ランナーが危険してしまう程です。東京開催ともなれば、レース中に30℃を超えてしまう危険性もあります。
このドーハ大会の反省を受けて、開催地の変更がほぼ強制的にかつ迅速に決定してしまったのかも知れませんね。何はともあれ、暑さによる熱中症などで選手の体調不良を起こすことが分かっているのであれば、開催地変更の決定は仕方ないものだとも思います。
2019年8月の札幌市の天気は?

引用元:https://weather.goo.ne.jp/
2019年8月の札幌市の天気です。東京オリンピックのマラソン・競歩競技が行われる約2週間の天気と気温を見てみましょう。
- 天気は晴れや雨の日もある
- 最高気温は22~34℃
- 最低気温は17~25℃
天気により気温の変化が大きいですが、晴れの日で最低気温が高くて25℃、曇りや雨の日であれば最低気温は17℃の日も出てきます。
晴れの日の最高気温は高くて34℃とこちらも熱中症レベルの気温です(汗)しかし、曇りや雨の日になれば22~32℃と気温にばらつきはありますが、夏では快適な気温でもありますね。
東京都のようなコンクリート地獄ではなく、広々とした風通しの良い解放された空間が多そうなイメージですので、風が吹けば暑さが和らぐのかも知れません。ただ、天候による気温のばらつきが大きいので札幌市が快適とまでは言えませんが・・・。
2019年8月9日(金)札幌市の気温の上昇の仕方は?(雨の日)

引用元:https://tenki.jp/
- マラソン・競歩競技スタート時間(午前6時)の気温:22.7℃
- マラソン・競歩競技終了時間(午前10時)の気温:20.1℃〜22.5℃の間
この日は雨のため、スタート時点で22.7℃です。少し肌寒そうです。そしてゴールする頃にも気温は大きく変わらず、22℃前後です。しかし、これはあくまでも雨だったための気温ですので、晴れた場合はどのくらいの気温になるのかを見てみましょう!
2019年8月2日(金)札幌市の気温の上昇の仕方は?(晴れの日)

引用元:https://tenki.jp/
- マラソン・競歩競技スタート時間(午前6時)の気温:23.6℃
- マラソン・競歩競技終了時間(午前10時)の気温:29.0℃〜31.6℃の間
晴れの日では、スタート時点で23.6℃と快適な気温です。そしてゴールする頃には29~31℃前後に一気に気温が上昇しています。30℃を超えてくるとなると選手の体調に大きく影響しそうですが、必ず30℃を超えるというわけではなさそうな予感もします。
晴れの日でも東京都のように、連日晴れの日ではなく、気温に差はありますが、選手にとって競技をするのにはギリギリ快適な気温なのかも知れませんね。
マラソンコースは北海道マラソンがモデルになる!?

引用元:北海道マラソンHP
気になる東京オリンピックマラソンのコースですが、毎年8月に行われている「北海道マラソン」のコースをモデルに考えて作られるようです。
※詳しくコースが決定次第追記していきますね!
「暑さ対策」に取り組むも「合意なき決定」に小池知事の想いは・・・

引用元:https://www3.nhk.or.jp/news/
「合意なき決定」東京開催へ向けて誰よりも熱心に取り組んでいたであろう小池百合子都知事の言葉です。
小池都知事は、東京開催へ向けて「暑さ対策」に一生懸命取り組んできていました。オリンピックへ向けてプレテスト大会を導入し、選手が暑さに困らないような「ミストシャワー」を導入したり、スタッフやボランティアのユニフォームも通気性の良いものを使用することを発表していました。
関連記事:【東京オリンピックボランティア】ユニフォームの傘は暑さ次第?帽子はどうなる!?
小池知事:「IOCの決定に同意することはできませんが、最終決定の権限を有するIOCの決定を妨げることはしないということが東京都としての決断です」
引用元:https://news.tv-asahi.co.jp/
開催地の変更も急にされた様子で、「IOCの決定に同意することはできない」と心の動揺と理不尽な決定とを物語るような発言でもあります。しかし、「最終決定の権限はIOCにある」ことから、従わざるを得ない状況であったことも分かります。
おそらく、開催地である東京都への事前の相談がなかったのでしょうね。悲しみも増し、理不尽な決断でもありますが、「最終決定の権限はIOCにある」となると仕方のないことでもあります。
ただ、小池都知事の想いは悲しみを通り越してしまっているのではないでしょうか!?東京オリンピックなのに「東京」でやらないなんて・・・。なんか変な気持ちが渦巻いてしまいます。
「パラリンピックは東京」の理由

引用元:https://www.news-postseven.com/
パラリンピックの会場は「東京のまま」と開催地の変更はありませんでした。ではなぜ開催地の変更がなかったのでしょうか?
それには2つの理由があることが予想されます。
- パラリンピックの開催日が8月ではなく、9月であること
- 猛暑の気候が予想されないこと
それぞれについて詳しく見ていきましょう!
【東京パラリンピック日程】マラソンのみ(競歩は競技としてない)
- マラソン(男女):2020年9月6日(日)
男子マラソン T54
女子マラソン T54
男子マラソン T46
男子マラソン T12
女子マラソン T12
※T54、T46、T12は障害区分となっています。
T54・・・車椅子を使用し、下肢が動かない競技者のこと。
T46・・・車椅子は使用しておらず、下肢機能には問題がないが、上肢を切断していたり、機能に障害のある競技者のこと。
T12・・・視覚障害者で、視力が0.0025から0.032まで又は視野直径が10度未満で、伴走者をつけて走る競技者のこと。
詳しい区分に関しては、日本パラ陸上競技連盟「クラス分けQ & A」でご確認ください。
2019年9月の東京都の天気は?

引用元:https://weather.goo.ne.jp/
2019年9月の東京都の天気です。東京パラリンピックのマラソン競技が行われるのは9月第一週の日曜日です。9月8日までの天気について見ていきましょう。
- 天気は晴れや曇りの日もある
- 最高気温は26~33℃
- 最低気温は22~25℃
8月に比べると気温の変化は緩やかに下がっていることが分かります。
最高気温はまだまだ30℃を超えてしまうようですが、最低気温は22℃〜25℃と快適な気温でもあるのかと思います。ただ、9月9日(月)、10日(火)は最高気温が35℃を超えていますので、本当にマラソンをやるのには良い環境かと言われると、そうでもないような気がしますが・・・。
なぜ、東京開催のままにしたのかが謎です。
2019年9月8日(日)東京都の気温の上昇の仕方は?

引用元:https://tenki.jp/
- マラソン競技スタート時間(午前6時30分)の気温:25.7℃
- マラソン競技終了時間(午前10時)の気温:29.9℃〜30.0℃の間
晴れの日では、スタート時点で25.7℃と高気温です。この日は正午ごろ雨が降ってそこまで一旦大きな気温の変化はなくなりましたが、それでも選手のゴール時間には30℃を超えてしまいそうです。
パラリンピックは9月開催だからといっても気温は高い
パーソンズ会長は「アスリートの体調を担保することは大事だが、パラリンピック期間の気温はオリンピックに比べてずっと低いというデータも確認した。東京からマラソンを移すことはない」と話しました。
引用元:NHK NEWS WEB
2019年11月に行われた会議で、「パラリンピック期間の気温はオリンピックに比べてずっと低いというデータも確認した」とされていますが、本当なのでしょうか?天気や気温の変化を見ても、パラリンピックのマラソンが開催される9月第一週もまだまだ暑さが続くことが予想されます。それを考えると障害のある選手も涼しい環境で競技が行われてもいいような気がします。
車椅子の競技者は地面との距離が近く、タイヤも熱を持ちます。手にはグローブをつけて車椅子をこいでるとはいえ、暑さが加われば手の火傷も懸念されるのではないでしょうか。
パラリンピック選手が暑さにやられ、体調を崩されないことを願うばかりです・・・。
本当に「アスリートファースト」なの?
今回は東京オリンピックのマラソン・競歩競技はなぜ札幌でパラリンピックのマラソン競技はなぜ東京なのか、その理由について見ていきました。
東京で開催されないことには残念さも残りますが、あの灼熱地獄の東京で選手たちが酷使する姿は誰も見たくないように思います。オリンピック種目のマラソン・競歩競技の開催地が札幌へ変更されたのは仕方ないことなのかと思いました。確かに、オリンピックのマラソン・競歩競技に関しては「アスリートファースト」の考えなのかもしれません。
しかし・・・パラリンピックのマラソン競技が開かれるのは9月第一週だとしても、まだまだ残暑続きです。特にオリンピックイヤーは暑さが増すと言われているだけに、酷暑となることも無くはないと思うのですが・・・。これは本当に「アスリートファースト」なのか疑問が残ります。
「パラリンピック期間の気温はオリンピックに比べてずっと低いというデータも確認した」
この言葉は納得できませんが、選手の体調が悪くならないような取り組みが発表されることを期待したいと願っています。
まだまだ課題が山積みの東京オリンピック・パラリンピック。今後の動きにも注目です!
関連記事:東京オリンピックでボランティアが徹夜決定って本当!?
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