マラソングランドチャンピオンシップ(以下MGC)が2019年9月15日に開催され、2020年東京オリンピック男子マラソン代表に中村匠吾選手(富士通)と服部勇馬選手(トヨタ自動車)が選ばれました。
東京オリンピック男子マラソン代表枠数は残り1枠あり、その1枠をかけた戦いが2020年3月まで続きます。
今回惜しくも東京オリンピック代表に内定できなかった選手は、日本陸連から発表された「MGCファイナルチャレンジ大会」で2時間5分49秒以内で走ることができれば東京オリンピックの代表選手に選ばれますが、この記録は日本記録より1秒速いだけに突破できる選手はいるのでしょうか。
誰も突破できなければMGCで惜しくも3位に破れた大迫傑選手(ナイキ)が内定をもらいます。誰も破れない記録だと見込み、代表内定を待つのかどうか!?
前日本記録保持者の設楽悠太選手(ホンダ )か暑さに強いアジア大会王者の井上大仁選手(MHPS)が「MGCファイナルチャレンジ大会」で日本記録を出して内定をもらうのか!?
今後の内定決定までまだまだ目が離せません!東京オリンピック男子マラソン代表の座を得るのは誰だ!?
代表枠数は残り1!残されたチャンスはどこに!?

引用元:http://www.mgc42195.jp/【MGC優勝中村選手(左 )と服部選手(右)は東京オリンピック内定者】
2019年9月15日にMGCが開催され、東京オリンピック男子マラソン代表の座をかけた熱い戦いが行われました。日本代表に選ばれるには、優勝または準優勝をすることが条件でした。見事内定をもらったのは優勝=中村匠吾選手(富士通)と準優勝=服部勇馬選手(トヨタ自動車)でした。
ただ、もう1枠だけ代表枠数として残っているのです!
3.選考基準 編成方針に基づき、以下の優先順位により、日本代表選手を選考する。
(1)MGC 優勝者
(2)MGC2 位の競技者
(3)MGC ファイナルチャレンジ設定記録を突破した記録最上位の競技者。
但し、MGC シリーズに出場(完走)、又は MGC 出場資格を有することを条件とする。
(4)選考基準(3)を満たす競技者がいない場合、MGC3 位の競技者
この意味はどうなるのか解説していきます。
- (1)MGC優勝者=中村匠吾選手(富士通)
- (2)MGC2 位の競技者 =服部勇馬選手(トヨタ自動車)
- (3)MGC ファイナルチャレンジ設定記録=2時間5分49秒
- まだ誰も突破していない。
- 今後行われる「MGC ファイナルチャレンジ設定記録会」で突破した選手が代表に選ばれる。
- (4)MGC3 位の競技者=大迫傑選手
「MGC ファイナルチャレンジ設定記録会」にてMGC ファイナルチャレンジ設定記録である2時間5分49秒以内で走りきることができたら、残りの代表枠に選ばれることになります。しかし、もし誰もこの設定記録を突破できなければ、大迫傑選手が代表に内定するという意味です。
では、「MGC ファイナルチャレンジ設定記録会」とはどの大会のことなのかを見ていきましょう!
「MGC ファイナルチャレンジ設定記録会」とは?
以下の3大会が「MGC ファイナルチャレンジ設定記録会」になります。
続いて、開催日時を見ていきましょう!
大会名 | 開催日 | スタート時間 |
第 73 回福岡国際マラソン選手権大会 | 2019年12月1日(日) | 12時10分 |
東京マラソン2020 | 2020年3月1日(日) | 9時10分 |
第75回びわ湖毎日マラソン大会 | 2020年3月8日(日) | 12時30分 |
12月と3月に行われますね。東京オリンピック5ヶ月前で選考会が行われるということです。
川内優輝選手のように年間何十レースにも出る選手であれば、チャンスがたくさんある!と前向きに捉えられるでしょうが、年間1〜2レースしか走らない選手にとってはこの選考会に出ること自体、疲れをためないか不安要素も大きいと思います。
MGCが終わって3ヶ月後の第 73 回福岡国際マラソン選手権大会に出場するのか。半年後の東京マラソン2020または第75回びわ湖毎日マラソン大会に出場するのか。
今回代表に選ばれなかった選手に残された選考会は3つ。今後どんな展開を迎えていくのかに注目です!
大迫傑選手が日本記録を打ち立てた時の5km毎のラップタイム

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/大迫傑
「MGC ファイナルチャレンジ設定記録」はこの記録よりも1秒速い2時間5分49秒以内で走ることです。それは日本ナンバーワンになることも意味します。
しかし、この記録が破られなければ、MGC3位の大迫傑選手が代表に選ばれますが、もしかしたら大迫選手自身が自分の記録を打ち破る可能性もあるということです。
ただ、オリンピックまで1年を切った中で求められるのは、日本記録更新とオリンピック出場、そしてオリンピックでのメダル争いなど大きな重圧があるのも確かです。
「MGC ファイナルチャレンジ設定記録会」で全てを尽きることなく、オリンピック出場を目指す選手にとって走る楽しみを忘れないで勝負に挑んでいってほしいなと願っています。
大迫傑選手のプロフィールと今後の予想

引用元:https://www.yomiuri.co.jp/
所属:ナイキ・オレゴン・プロジェクト
マラソン自己ベスト:2時間5分50秒
大迫選手はどの「MGC ファイナルチャレンジ設定記録会」に出場するの?
MGC終了後の大迫選手のインスタへの書き込みです。
走り終えたばかりで今までのプレッシャーから解放された瞬間でもあったでしょうし、代表になれなかったという不安もあったでしょう。今後については、「コーチと相談して決めたい」と話しています。
他の選手に自身の持つ日本記録を更新される可能性もあるため「MGC ファイナルチャレンジ設定記録会」に出場しないという選択肢はないのでしょうが、年間1〜2本のレースで勝負に挑む大迫選手にとっては難しい決断だと思います。
「オリンピックは順番が大事」と勝負にこだわる大迫選手。だからこそ、丁寧で冷静な判断をしてくることに違いありません。
東京オリンピックは暑さが懸念されるため好記録は望めないため、破られるかもしれない自身の日本記録更新をしてくると思います。その場合は「東京マラソン 2020」に出場するのではないでしょうか。その理由は二つあります。
- MGCから半年空いたレースであり、体調が整えられるかもしれない。
- アメリカからのアクセスが便利である。
でも、もしかしたら東京オリンピックでのメダル獲得という順位を意識した場合「果報は寝て待て」という選択をしてくる可能性もあります。
設楽悠太選手のプロフィールと今後の予想

引用元:https://www.jaaf.or.jp/athletes/
所属:Honda
マラソン自己ベスト:2時間6分11秒
生出演 大迫選手「MGC」激闘ウラ側
「設楽選手とバスが隣で…」 pic.twitter.com/SL2t0ShOQF— TFchannel (@tf__channel) September 17, 2019
設楽選手はどの「MGC ファイナルチャレンジ設定記録会」に出場するの?
沢山の応援ありがとうございました!
楽しかったです!#MGC— 設楽 悠太 (@Honda_1218) September 15, 2019
MGC終了後の設楽選手のTwitterへの書き込みです。
大会が終了と同時に記者から「MGC ファイナルチャレンジ設定記録」に挑戦するかの質問には、「今は考えたくない」と即答。そんなこと終了後に聞かなくてもいいでしょ!とつい思ってしまいました。
以前、設楽選手が打ち立てた男子マラソン日本記録のラップタイムはこちら!

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/設楽悠太
この記録は、2018年2月の東京マラソンで打ち立てたものです。ハーフまでのタイムと、ハーフからゴールまでのタイムを見比べると前半からスピードをつけて走れる選手であることが分かります。
日本記録を大迫選手に破られた以上、日本記録奪還できる強さがあるのは設楽選手だけ!縁起のいい「東京マラソン」に出場し、日本記録更新を狙ってくると予想します!
井上大仁選手のプロフィールと今後の予想

引用元:https://www.sankei.com/photo/
所属:MHPS
マラソン自己ベスト:2時間6分54秒
18年アジア大会金メダルの井上大仁(26=MHPS)をあらためて猛プッシュした。「けん制レースとなったアジア大会の優勝は一部では評価が良くないが、アジア大会後に2時間4分台を出したバーレーン選手にラスト勝負で勝った。最有力で大本命です」と太鼓判を押した。
大舞台で勝負所まで我慢をしてきちんと力の出せる選手でもあり、何より海外勢で井上選手より速い選手に競い勝つことのできたことに太鼓判を押していたのです。東京オリンピックも暑さが懸念されます。そのシビアな条件の唯一の経験者が井上選手だということです。
しかし、暑さや勝負に強いと言われていた井上選手でしたが、今回のMGCではまさかの最下位に沈みました。「原因はわからない」とこのことで自身でコメントしています。
井上選手はどの「MGC ファイナルチャレンジ設定記録会」に出場するの?
瀬古利彦・日本陸連マラソン強化戦略プロジェクトリーダー (井上は17年の)世界選手権の時もあんな状況で、入れ込み過ぎるとこうなるのかな。彼のこれからの課題。
暑さにも強さにも強いと評価された井上選手。しかし、MGCではまさかの最下位に沈んだことに、日本陸連の瀬古利彦プロジェクトリーダーは意味深なコメントをしました。
「入れ込み過ぎるとこうなるかな。彼のこれからの課題。」
これはどういった意味なのでしょうか。「入れ込み過ぎる」とは何なのか。
井上選手のこれまでのマラソン実績を見てみましょう!

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/井上大仁
これが今までの井上選手のマラソン実績です。
自己ベストを出したのは2018年2月の東京マラソンで、2時間6分54秒で走っています。次に海外レースでの自己ベストは、2019年のボストンマラソンで、2時間11分53秒で走りました。
では、国際大会(世界大会レベル)の実績ですが、出場は世界陸上ロンドン大会のみです。
この時の様子は、20km過ぎまでは先頭集団に食らいつきますが中間点付近で遅れ始め30km手前で完全脱落し、26位に終わったレースでした。
瀬古さんの詰め込み過ぎると言うのはもしかしたら「抱え込み過ぎる」と言う意味でしょうか。
東京オリンピック出場するためには日本新記録の更新ですが、実績から考えれば井上選手にも十分に可能性はあると思います。
抱え込み過ぎずに出場できる大会で記録を狙えるものとなると、「第75回びわ湖毎日マラソン大会」に出場してくる可能性があるのではないでしょうか。でも、もしかしたら自身の自己ベストを出した「東京マラソン2020」に出場する可能性もあります。
今後の展望
東京オリンピック男子マラソン代表枠数は残り1枠。その1枠をかけて2020年3月まで戦いが続きます。「MGC ファイナルチャレンジ設定記録会」に3選手全員が出場する可能性が高いとも言えます。
勝負にこだわる大迫傑選手は、東京オリンピックの切符を確実に手にするために「東京マラソン 2020」に出場してくるのではないでしょうか。しかし、「果報は寝て待て」とう選択をしてくるかもしれません。
設楽悠太選手は、日本記録を大迫選手に破られた以上必ず出場してきます。以前、設楽選手が日本記録を打ち立てたのは「東京マラソン」です。その縁起のいい「東京マラソン 2020」に出場し、日本記録更新してくるのではないでしょうか。
暑さに強い井上大仁選手。気負わずに自身の走りのできるマラソンに出場してくる可能性が高いと言えます。「第75回びわ湖毎日マラソン大会」か、自己ベストを出した「東京マラソン 2020」 だと予想します。
MGCまでにも相当なプレッシャーを感じて練習してきた選手たち。それでもまだ戦いは続きます。誰が東京オリンピック男子マラソンの代表になってもおかしくありません。
これからの活躍からも目が離せません!
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